家紋が伝える家族の歴史
2022年2月28日
こんにちは。愛知県豊田市の中澤⽯材店です。
まもなく春のお彼岸がやってきます。たびたびお墓参りに行っていても、意外と意識されないのが家紋。一般的に墓石の正面の花立や水鉢などに彫刻されています。
私ども石材店では彫刻原稿を作るために、様々な家紋を集めた家紋集を使っています。しかし、そこにも載っていない、⻑年この仕事に携わって⻑い私どもでも⾒たことのない家紋に出会うこともしばしば。そんな時はお施主様に示されたもの(例えば先祖代々伝わる着物や仏具など)に描かれた家紋をお預かりしてそこから原稿を作成します。
家紋の歴史は平安時代までさかのぼり、当初は貴族や武士の間で使われていました。特に武士達は家名とセットで覚えておくことが、戦場やお殿様とのやりとりで不可欠でした。明治以降には庶⺠にも家紋が普及し、石のお墓が家のお墓として建てられるようになると、家紋を彫られたお墓が増えてきました。
<岐阜城の石段>
皇室が菊紋、徳川家が葵紋であるように、花や植物をモチーフにしたものが思い浮かびますが、扇や網など構造物や道具、蝶やうさぎなどの動物、月や星などを象ったものなどがあり実に多種多様。家紋からは、家族の歴史、ひいては日本の歴史や文化を読み取ることができます。家紋は礼服や、お盆の提灯などにも使われてきましたが、年々⾒る機会も少なくなってきました。
<東京・増上寺の徳川家葵の紋>
今一度、お墓に刻まれているわが家の家紋について調べてみてはいかがでしょうか。