石碑が伝える疫病の終息
2023年10月31日
こんにちは。愛知県豊田市の中澤⽯材店です。
長かった新型コロナウィルス感染症の流行も、ようやく落ち着きはじめました。旅行やイベントも開催されるようになり、以前の日常を取り戻しつつあります。今はまだ、しっかり「終息した」とまでは言えない状況ですが、その昔、世界中で猛威をふるった幾多の感染症も終息していったように、新型コロナウイルスもきっとその時を迎えることでしょう。
世界各地にはそういった疫病の流行について記された石碑が多く建てられています。
例えば日本の例では、江戸時代の文政5(1822)年、日本で最初にコレラが流行し、明治時代には数年ごとに大流行を繰り返し、明治時代の45年間の死者は全国で約37万人にも上ったと言われています。全国各地で流行したことから、供養碑も全国各地に建てられています。
埼玉県越谷市の安国寺には、江戸時代の安政6年(1822)建立のコレラ供養碑があり、当時の様子を碑文に残して、亡くなった人々を供養しています。
また、ヨーロッパ各地にはペスト終息の記念碑があります。
有名なのが1694年に建てられたオーストリア・ウィーンの「ペスト記念柱」です。この記念碑は、ペストの終息とオスマン軍との戦いに勝利したことを記念して、皇帝レオポルト1世が建立しました。大理石製で上部にはキリスト教の三位一体像が輝き、擬人化されたペストを天使が退治しているシーンも。日本の石碑とは意味が異なりかなりゴージャスですが、ペスト終焉の証を今に伝えています。
このコロナ禍で疫病退散の妖怪として注目を集めたのが、「アマビエ」。早く終息するようにとの願いを込めて、アマビエの石像があちこちに立てられました。これまで数々の疫病を乗り越えてきたように、このコロナが終息を迎えた時にも供養の碑が建てられるかもしれません。アマビエの石像と共に後世に伝えていってくれることでしょう。